DTGプロファイル作成・DTG色分けツール

DTGプロファイル作成・DTG色分けツール

このチュートリアルでは、DTG用のプロファイルの作成方法を説明します。ベテランのオペレーターでも、初心者の方でも、知っておいて損はありません。なぜなら、メディアプロファイルを最適化する方法を理解することは、インクの使用量を最小限に抑えながら鮮やかで正確な印刷を実現するために不可欠です。我々のDTGへのアプローチは、PrintFactoryの「品質を損なうなく、ユーザーの利益を最大までアップさせる」という信念に基づいたものです。さらに、Editorの DTG 色分割ツールを以前に作成したプロファイルとどのように統合されるかを説明していきます。

DTG用PMMの作成

いくつかの相違点はありますが、DTG用のPMMを作成するやり方は概ね「PMMの作成」のトレーニングビデオで紹介されているものと同じです。このチュートリアルでは、CMYKRGインクセットを搭載したKornit Atlas Maxを使用すると想定し、PMMを作成していきます。他のDTGデバイスやインクセットであっても、やり方は同じです。その前に、先に「PMMの作成」のトレーニングビデオを視聴し、プロファイリングについての基本的なコンセプトを理解した上で、本チュートリアルを閲覧することをお勧めします。
それでは、始めていきましょう。

注意事項:
- 服の色でプロファイルを分けて作成するのがベストです。
- 白インクの線形化とそれに続く明るさの調整は、服の明るさによって大きく異なります。
- 2 つの線形化チャート (白とカラー) は、DTG システムで「平均 3 倍」設定を使用して測定する必要があります。そうしないと、結果の曲線に大きな凹凸が生じ、結果的にDeltaE が高くなる傾向が見られています。


DTG プリンターで新しい PMM を作成し、印刷モードを設定し、名前を付けます。



次に、白の線形化ページが表示されます。ここで、最初の測定を行うためにチャートをプリントアウトする必要があります。線形化チャートの底には特徴的な図形があります。


これは、服にプリントする際、インクの盛りすぎが起こらないための最適な量の白インクを定めるためのチャートです。グラフの上部のバーは、幅全体にわたって 100% の白インクの適用範囲を示しています。その下のバーは、左側の5%の白ブロックから始まり、100%の白に達するまで 5% ずつ徐々に増加します。下のバーの羅列は、上のブロックのインクの割合を反映したものです。インクの盛りすぎによって引き起こされる現象として、ブロックのひび割れや、下のバーの間に細い糸が現れることがあげられます。下の図はこの現象を再現したものです。この例では、白インクの出力は75%に制限しています。その理由は75%を超えると右の図ようなトラブルが起こるからです。




チャートをプリントアウトしたら、先ずは目で見て、出力する最適な白インク量を判断し、白インクのリミットを設定する必要があります(一部のプリンターはインクリミットが100%のままでも問題ありません)。最適だと思われるリミットまで調整したら、もう一度チャートを印刷してください:



チャートの測定が完了したら、「次へ」をクリックし、次のステップへ進みます。



プルダウンメニューでは DTG がすでに選択されているため、変更を加えずに次のステップに進むことができます。
次に、DTGの明度やインクリミットチャートページが表示されます。これは、DTG 画像の色の下に適用される白インクのパーセンテージを決定するための重要なステップです。このチャートは各種の色の組み合わせを並べたもので、インクセットの数が多いほど、測定チャートにある組み合わせの種類が多くなります。このプロセスの90%は、基礎データを取得するために、チャートを印刷し、測定する作業を行います。残り10%は目視での確認や、測定中で発覚した不具合を確認または調整する作業です。




上の図では、DTG明度チャートは黒のTシャツに印刷するため、ウィザードによって、100%の黒インクの部分の下からは白インクによるアンダーベースは除去されていることが分かります。T シャツに備わった黒を利用することで、白いアンダーベースが不要になったからです。さらに、測定の結果に基づいて、他の色のコンビネーションにおける白インクの出力量の調整も自動で行われています。このプロセスでは、目でチャートを細かく確認した上で、インクを最適な量に微調整することが重要です。特に、過剰なインク出力を防ぐために、暗い色を慎重に確認する必要があります。

以上のステップをもって、白インクの線形化が完了します。次のステップは、白のアンダーベースを下に塗りつぶして印刷されるカラーの線形化です。このチャートを印刷して測定し、スパイダーチャートが表示される次のステップに進むだけです。

上のスパイダーチャートで、色域が 100% に非常に近い場合は、スライダーを手動で 100% までドラッグしてもいいでしょう。そうでない場合は、測定値に基づいて自動で算出された数値のままにしておくことをお勧めします。続いて、全体のインク制限チャートに進みます。



全体のインク制限は、測定結果に基づいて自動で計算されます。DTG において、手動による調整はさほど必要ではありません。ほとんどの場合、自動で算出されたインク制限値を信じて次のステップに進めても問題ありません。自動 TAC 選択を確認したい場合は、TAC チャートを印刷しても問題ありません。
次は色域チャートです。プロファイルを完成させる最終ステップとして、このチャートを印刷し、測定してください。



注意事項:
- 服の色でプロファイルを分けて作成するのがベストです。
- 白インクの線形化とそれに続く明るさの調整は、服の明るさによって大きく異なります。
- 2 つの線形化チャート (白とカラー) は、DTG システムで「平均 3 倍」設定を使用して測定する必要があります。そうしないと、結果の曲線に大きな凹凸が生じ、結果的にDeltaE が高くなる傾向が見られています。



EditorのDTG色分けツール

PrintFactory Editor に搭載されているDTG 色分けツールは、画像から不要な色を除去するために設計されています。色分けツールを使うことで、DTG印刷の効率を上げることができます。具体的には、印刷する服の色を特定し、その色を画像から事前に除去することで、インクの盛りすぎを防ぎ、同時にインクの節約を実現できるようになります。さらに、このツールには、ホワイトチョークや、特殊効果のために特定のチャンネルをハイライト表示するなどの機能あります。それに、一度DTG 色分けプリセットを作成すれば、以前に作成した PMM にリンクすることも可能です。それでは、機能を詳しく見ていきましょう。

はじめにEditorで画像を開き、エキストラのプルダウンメニューからDTG色分けツールを選択します:



ウィンドウが表示され、クラウドで共有されている DTG 色分けプリセットのリストが表示されます。ここで既存のプリセットを編集したり、削除したり、または新しいプリセットを作成することもできます。



+ボタンをクリックすると、下のような色分けツールの画面が表示されます:




服:材料とカラーのプレビュー



生地:服の色を意味します。デフォルトは黒に設定されています。色をクリックすると、材料の色を黒からカラーに変更できます。CIELab、AdobeRGB、またはsRGBの数値で色を指定できます。可能であれば、分光光度計で服の色をスキャンし、正確なLAB値を測定することをお勧めします



カラーのプレビュー:スクリーン上に表示される背景カラーを指します。色の設定を視覚的に見やすくするためにあります。


収縮(チョーク):アンダーカラーの白に収縮を適用する


公差:アンダーカラーの白に適用するチョークの量をミリメートル単位で設定します。ほとんどの最新プリンターの場合、白チョークの一般的な数値は約 0.1 ~ 0.2 mm です。
チョークなし:この機能により、コンテンツに応じてチョークを適応することが可能になります。「白インクのみ」を有効にすると、白インクのみの部分からチョークが除去されます。理由は単純明快です。白インクの上に色が重なっていなければ、白をチョークする必要はありません。そうすることで、白の細いテキストや線の鮮明さを保ち、消えたり欠陥が現れたりしないように白部分をキレイに印刷できます。他に、「スポットカラーの下」という選択もあります。これは、白インクと同じ原理で、スポットカラーの下のチョークを除去するというものです。また、「なし」を選択すると、デザイン全体にチョークが適用されます。


ハイライト:追加のハイライトレイヤーを印刷します


範囲:範囲が大きいほど、印刷されるハイライトインクが多くなります。これは、画像の明るさと直接相関しています。
量: 印刷されるインクのパーセンテージ。実際に使用されるインクは、チャネルセレクターによって決定されます。
チャネル:イライトパラメータが適用されるインクセットからチャネルを選択します。

注意点: ハイライトチャネルは、インクの使用量が増え、追加のレイヤーの印刷により生産速度が遅くなるため、DTG ツールの中では使われることがあまり多くありません。特殊効果が必要な場合以外だと、ほとんど使うことはありません。


黒除去:黒の服に印刷する時に画像から黒を除去すること


公差:除去する黒の量を決めます。公差が高いほど、より多くの黒が除去されます。このツールを使用すると、Adobe Photoshop などの他社のアプリケーションを使用して黒色部分を削除する必要がなくなります。


クロマ:このスライダーは、黒部分と影部分の端から除去される暗いインクの量を調整できます。これにより、服本来の黒をより有効に活用し、フェザリング効果を生み出します。同時に、服の色の代わりにインクが使用されるハードエッジを回避するのに役立ちます。この機能を使えば、黒/暗い色の服に印刷する時、よりきれいな結果になります。


カラー除去:カラーの服に印刷する時、画像から指定した色を取り除く



カラー除去ツールを有効にするには、服オプションに生地の色を指定する必要があります:


公差: このスライダーは、カラー除去の程度を調整できます。公差が高いほど、画像から取り除かれる指定した色が多くなります。このツールは、Adobe Photoshop などの他社のアプリケーションで色の除去を行う必要をなくします。この例では、生地を赤いカラーに設定しているため、画像に赤の除去が適用され、赤インクを使う代わりに生地の赤をそのまま使用します。



DTG色分けプリセットの設定を完了すると、OKをクリックし、プリセットの名前を設定してください。




PMMプロファイルにDTG色分けプリセットをリンクする

DTG 色分けプリセットが作成されたら、ローカルでPCに保存されると同時に、クラウドリソースにアップロードされ、保存されます。以降、同組織内のすべての PrintFactory ソフトからアクセスできるようになります。ワークフローを効率化するために、DTG プリセットを DTG PMM にリンクするオプションがあります。こうすることで、リンクしたPMM によって処理されるすべてのジョブにDTGプリセットが自動的に適用されます。

1. Calibratorを開き、DTGプリンターを選択します
2. メディアを選択
3. モードを右クリックし、「DTGプリセットとリンク」を選択します



DTGプリセットをリンクしたら、このPMMで処理されるすべてのジョブにこのプリセットが適用されることが保証されます。この連携は、ワークフローのオートメーションを可能します。特に、一々Editorを開いて手動でプリセットを追加する必要がなくなったことは、製造の効率を大幅に向上させます。それでは、処理された出力結果を詳しく見てみましょう。



このプレビューでは、黒の T シャツに印刷する予定の画像が色分けやRIP処理された後の結果が表示されています。PMM にリンクされた DTG プリセットにより、画像から黒が除去され、T シャツの黒が背景として機能します。白の下地は、黒以外の画像の残りの色の下に印刷されました。この色分けにより、不必要なインクの消費を抑え、印刷効率を高めると同時に、質の高い印刷結果をユーザーにお届けできます。




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